会員様インタビュー FONTSTORY
第16回 図書印刷株式会社 様
図書印刷株式会社は、教科書や辞典をはじめ、定期刊行物、一般書籍、パンフレット、ポスターなどの企画制作から印刷、製本まで、印刷のすべてをシステムで考える総合印刷企業です。教科書や雑誌などを印刷する出版印刷と、企業のカタログやチラシ、広告などを印刷する商業印刷が2本柱となっています。出版市場の低迷や広告費削減によるカタログ・チラシなどの減少により印刷業界にとって厳しい経営環境が続くなか増収を続けています。新技術、新システムを背景に、多品種・少量生産への対応や納期短縮の実現など、お客様の多様なニーズに対応できる生産体制を整え、積極的な活動を展開しています。また、DVD・電子書籍コンテンツの運用などデジタルメディア関連の受注にも積極的に取り組んでいます。
今回は、CATSグループ 課長 久富隆洋氏とCATSグループ 石川良太氏に印刷会社から見たLETSについてお話しを伺いました。
LETS導入のきっかけはOpenTypeフォント
LETSを初めて聞いたときの感想として、デザイナーの方々にとってもすごくいいかなと思ったんですよ。これがうまくいけば普及するのかなというのがあったんですけど、ただフォントのマイナーバージョンアップ等でバージョンが増えすぎても困るなぁと(笑)。特にプリンタフォントだとなかなか入れ替えるのは難しいですから。その点で言うとOpenTypeになってしまえばプリンタフォントは関係なくなるので逆にそういうハンドリングはしやすくなると思います。(久富氏)
パッケージではなくLETSに決めたポイントとは?
LETSは、やはり豊富で多様なフォントがありますし、それがどれでも使えるというのはユーザーから見るとかなり魅力だと思うんですね。特にデザイナーさんは何を使ってくるかわからないところがありますので、印刷会社としてそれに対応しようとしたときにLETSだったらかなりリーズナブルにそれが可能だと判断しました。印刷会社は、要求されたものに応じなければならないので、LETSのようなプログラムがないと新しいフォントを入れるのはどうしても難しくなりますね。価格的に高いものですから。(久富氏)
今まではフォントのバージョン違いに悪戦苦闘
今まで一番苦労したのはフォントのバージョン違いじゃないですかね。FWに限らず他社でも同じようなトラブルはありますね。いまだに引きずっていますけど、取引先やクライアントがLETSユーザーであればその辺りのサポートが行き届いて解決できるんですけどね。(久富氏)
入稿したデータでフォントのバージョンがわかればいいんですけど、わからない。それでデザイナーさんに確認すると、何でこの会社はそんな細かいことまで聞くんだろうと、逆に印象を悪くされてしまいがちです。フォントのバージョンを意識されているデザイナーさんはあまり多くないですからね。こちらはトラブルなく出力しようと思って確認しているんですけど、なかなか理解してくれないようです。それから「出力センターで断られたんだけど、こちらでどうにかなりませんか」という依頼がたまにありますね。出力センターさんの場合「これは出ません」「こういう風に出ますよ」とそれで終わりのケースが多いんですけど、その断られたデータを持ってこられて、どうにかならないかなぁということで来られる方もいらっしゃいますね。(石川氏)
そういった場合、できるだけ対応しますが、ケースバイケースですね。大切なのは、どういう風にしてくださいと話しをして、相談しながら作っていくということでしょうね。(久富氏)
お客様へのLETS提案で安心サポート
最近お客様から「OS Xに切り替えたいんだけど」という相談を結構受けるんですよ。私達は印刷をすることだけではなく、お客様のDTPの環境をサポートをするという仕事もしていますので、営業経由または直接そういった相談を受けたりします。そのときは、OSだけでなく、最新のアプリケーションなどのことを一通りアドバイスしています。場合によってはマシンから全部揃えるよう勧めることもあります。そのときにやはり一番引っ掛かるのはフォントなんですよ。「どうしたらいいだろう」という声をよく聞きます。特に個人のデザイナーさんなどはそんなに金額を掛けられないですから、そんなときにLETSを提案をしています。LETSを知らないお客様は大変喜びますね、そんな導入しやすいものがあるんですかと。こちらから提案してフォント環境を統一することで、我々としても安心してお客様のサポートができます。(石川氏)
今後はOpenTypeフォントメインで
基本的にOpenTypeへの対応ということでLETSを導入したので、その中でもメインで使っているのはOpenTypeです。CIDとOCFは使っていません。なぜなら、4拠点ある工場のそれぞれのプリンタにプリンタフォントを入れなければならないとなると、正直なところ金額的にも難しい。なので今後のことを考えて、やはりOpenTypeをメインでやっていきたいと考えています。ただ、プリンタを新規で購入するときはLETSのオプションの方が断然イイとは思います。(石川氏)
もう少し頻繁にOpenTypeフォントの入稿があると他にもいろいろとメリットを感じられるかもしれないですけど、そのあたりはFWのこれからの普及活動に期待しています。(久富氏)
Adobe Japan 1-5への対応を
Adobe Japan 1-5に対応してほしいですね。医学系の雑誌でCIDを使っていたときは毎月作字があって、外字がだんだん蓄積されていくんです。OpenTypeが出てきて、どうかなぁと調べてみましたら、Adobe Japan 1-5だと全部カバーされていましたが、Adobe Japan 1-4では何文字か外れていました。それでお客様に説明をしてOpenTypeに変更しようということになりました。(石川氏)
FWも明朝系と本文用ゴシックだけでも、早めに対応していただいた方がいいですね。それが市場のクライアントさんやデザイナーさんがOpenTypeを使いたいからOS Xに変えようとかInDesignに変えよう、というきっかけになってくれるとも思います。 昔でしたら印刷会社で外字作成というのは普通でしたけども、DTP時代の今はデータを作成側が外字を作る方がよいのではないかと思っているんです。しかし実際には外字を作れない方が多いんですね。それがOpenTypeになって、外字として作字しなくても大体の文字が揃っているという形になると、ようやく普通に運用できる状態になるのかな。出版社としても今まで仕方がないからJIS文字で済ましてた文字が、ちょっとした操作でちゃんとした文字として出てくるのであれば、出版の方も少しまともになってくるのかなと期待はしているんですけどね。でも外字については、DTP業界の8割くらいは気にしてないのかな。本当に問題になるのはごく一部の書籍ですよね。あとは出版社の編集者がどこまでちゃんとしたことをやろうとしているかどうか。出版社の方の良識、文部省の印刷字体に沿おうとか、そういった良識ですよね。フォントメーカーが早くAdobe Japan 1-5なりに揃ってちゃんとやってくれれば使う方は楽になる。フォントメーカーさんみんなでこうしましょうと決めてもらえばいいと思うんですよね。それぞれが突っ走らないように、もうちょっと仲良くやってほしいですね。
FWも今後新しいフォーマットや文字セットをリリースされると思いますけど、LETSなのでそこは安心ですね。逆に、たくさん書体を出されるメーカーさんはLETSと同じようなことをやってもらわないと普及しないですよね。新しく出るたびに全部購入することはできませんから。やはり書体は使われないことには意味がないので、露出をあげて使われる率が増えれば増えるほど、それだけさらに使われるようになっていくものだと思うんですよね。あとはみんなが見て、これはいいフォントだなとか、使いたいなと思うフォントというのがあると思いますので、そのターゲットをうまくつかまえることでしょうかね。特に筑紫明朝はいいですよね、本当見てて。何とかもっと流行ってくれると面白いと思うんですけど…。写研の頃みたいな綺麗な出版物が見たいですね。(久富氏)
<編集後記>
Mac OS Xの登場によるDTP環境の劇的な変化に対応するために自社内のシステム構築だけでなく、取引先であるクライアントやデザイン会社等からの相談へのアドバイスや提案など、多岐にわたるサポートもされていることには少々驚きました。そういった活動にLETSがお役に立てるよう、これからもより良いサービスを提供してまいります。
企業情報
社名 | 図書印刷株式会社 |
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本社所在地 本社事務所 |
東京都港区三田5丁目12-1 東京都港区高輪1丁目3-13 |
TEL | 03-3473-7300 |
URL | http://www.tosho.co.jp/ |
創立 | 1911(明治44)年3月 |
設立 | 昭和18年3月17日 |
従業員数 | 1,232名(平成16年3月31日現在) |
事業内容 | 教科書、事典、辞典、週刊誌、月刊誌、美術書、一般書籍、パンフレット、カタログ、ポスター、カレンダー、有価証券などの製造(企画、製版、印刷、製本加工)新聞印刷、ビデオ・電子出版物の企画・制作およびデジタルビジネスの企画・提案 |